【教師が語る】9月入学のメリット・デメリット

教育
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最近、コロナウイルスの影響で「9月入学」について文部科学省で議論が行われています。

そこで、現役教師が思うメリットとデメリットをニュースなどで調べ、まとめてみました。

この記事で分かること
  • 9月入学にすると良いことは?
  • 9月入学にすると悪いことは?

メリット

まずはメリットから話したいと思います。

私は大きく2つあると考えました。

受験の時期が冬からズレる

1つ目は受験シーズンが冬ではなくなることで、雪やインフルエンザの影響を受けなくなることです。

現在、受験シーズンと言えば冬のど真ん中に行われますよね。

おっでぃ
おっでぃ

雪降ると試験会場行くまでも試練となるからな…

もちろん寒い時期の方が人間は風邪をひきやすく、体調も崩しやすくなります。

また、インフルエンザもワクチンはありますが、100%予防できるものではなく、症状を和らげるだけの可能性も考えられます。

  • 天候
  • 感染症(体調不良)

これらは自然災害で、人間の力で太刀打ちすることができません

9月入学へ変えることで、物理的に時期をずらし、天候や感染症など自然災害から逃れることができると考えられます。

国際化が(少し)進む

2つ目は国際標準が9月入学なので、グローバル化が進むことです。

日本は間違いなく人口減少が加速していきます。

この問題は国が抱える大きな問題となっています。

そこで外国人を受け入れやすい体制をつくり、国内への留学生を増やし、日本の経済発展につなげるという考えです。

話が変わりますが、Google、Microsoft、AdobeなどのCEOはインド出身の方々です。

おっでぃ
おっでぃ

GDPをインドに抜かれるのは時間の問題ですね…

グローバル化と最近よく耳にしますが、外国人の優秀な留学生を増やし、日本の経済に発展につながると考えられています。

そのためには海外から見て、魅力的な大学を増やすことももちろん大切だと思います。

世界大学ランキングでトップ200に入っているのは、東京大学(36位)と京都大学(65位)だけですからね…

参考文献:THE世界大学ランキング2020

デメリット

次にデメリットを話していきます。

大きく4つあります。僕自身は9月入学に対して、反対なのでデメリットの方が多くなりました。

入学時期が遅れる

1つ目は入学時期が遅れることにより、30歳ころまでの賃金が低くなる傾向があることです。

ノルウェーの行政データを用いた研究

就学開始年齢が高くなると、IQや学歴には影響がないが、賃金が24歳のときは-9.2%,30歳のときは-1.0%になる。

参考文献:Black, S. E., Devereux, P. J., & Salvanes, K. G. (2011). Too young to leave the nest? The effects of school starting age. The Review of Economics and Statistics, 93(2), 455-467

若い時の給料が少なくなると、

  • お金を使う機会が減り、経済が発展しない。
  • 経済的に結婚や出産が厳しく、少子高齢化や晩婚化が進んでいく。

などが考えられ、半年遅れるだけでも影響が出ると思っています。

おっでぃ
おっでぃ

若い時は物欲もあって、お金があればあるほどう嬉しいし使っちゃいますよね(笑)

親や教育現場の負担が増える

2つ目は親の金銭的負担、教育現場の負担が増えることです。

「9月入学」を導入した場合、学習期間が延びた5カ月間の追加負担が、小中高校生の家庭分の総額で計2兆5千億円になるとの試算を明らかにした。大学などの高等教育段階では計1兆4千億円。小学校から大学などまでで計3兆9千億円となる。

参考文献:日本経済新聞

移行期の 4~8月分も学校での学習を続ける前提で考えると、必要な学費や給食費などの維持するための費用は大きなものになります。

コロナ禍で経済的に苦しい家庭が増えている今、さらにこれらを負担することが可能でしょうか…?

3兆9千億も国が負担するとは思えないしな。

教員は2万8100人が追加で必要になり、保育所は新たに26万5千人、学童保育は16万7千人の待機児童が生まれる。

参考文献:朝日新聞

次に教育現場にも負担が多くのしかかります。

保育園や幼稚園の人手不足、教員の人手不足はコロナ前から問題になっています。

また、教員の人手不足は試験の倍率が下がり、教育の質も確実に落ちます

2020年5月22日現在の第2案の段階的な9月入学案になっても、新入生は13ヵ月分の生徒数になり、間違いなく教育現場の労働環境は悪化すると考えられます。

これらのような問題を抱えながら、入学時期を遅らすことはあまりにも危険な気がしてならないです…

9月入学にしても留学生は増えない

3つ目は9月入学にしたところで、留学生が増えるとは考えにくいからです。

なぜなら、留学したいけど行かない理由は、

  • 金銭的に厳しい。
  • 語学力に不安があって、行く勇気を持てない。

この2つが大きいと思います。

欧米は9月入学だから、留学厳しいわ~

なんてあまり聞いたことがありません(笑)

留学生を増やしたいのならば、「9月入学」よりも、

  • 留学のための奨学金の充実
  • 受験のための英語ではなく、実践的な英語教育

を行った方が効果的だと思っています。

また、留学先で人気のあるオーストラリアやニュージーランドは2月入学です。

留学生を増やし、国際化をはかるために「9月入学」にするのは、あまりにも安易な考えだと思っています。

休校中の授業は、夏休みで補える

9月入学のメリットでよく

休校による教育課程の遅れをリセットできる。

と聞きますが、授業日数や授業時間の確保は夏休みに行ったり(お盆の時期は除く)、土曜日に行ったりすれば確実に取り戻すことができます。

臨時休校は3~5月の3ヶ月ですが、授業日数は3ヶ月分もありません。

それには下記のような理由があります。

  • 春休みがある。
  • 卒業式や入学式のシーズンで授業がつぶれる。
  • 3月はテスト終わりで授業時間が少ない学校が多い。

また、全科目を補修するのではなく、5教科に絞って行えば、授業日数はさらに減ります。

「9月入学」に伴う大きなリスクよりも、夏休み短縮や土曜授業といったコストの低い選択肢で、授業の遅れを取り戻した方が良いと思っています。

注意

夏休みに授業を行う場合、冷房の設備は必須だと思います。

なので、早急にエアコンの設置をしなければなりません。

「4月入学」や「9月入学」と決めなければならないのか

今まで9月入学のメリットとデメリットを話してきました。

しかし、いろんな意見を聞いていると、入学時期や卒業時期を固定するのではなく、個々に合わせて進度を考える教育に移った方が良いのではないかと感じました。

そこで、今まで当たり前にやってきた4月入学3月卒業のシステムがどうなのか考えてみました。

そもそも全国民が1年間同じペースでやるのはおかしい?

今の日本は幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校、大学、すべての学生約2000万人が同じスケジュールで動いています。

僕自身、学生全てを4月から初めて、3月に終わるという制度に違和感があります。なぜなら、

  • 個々の力に合わせた教育
  • 個人の多様性を育む教育

正反対だと思っているからです。

理想は指定されたカリキュラムをクリアすれば、次の学年に進める形だと思っています。

その結果、できる子はどんどん進めていき、できない子はじっくり時間をかけて学ぶことができます。

今、私は高校2年生を教えています。同じクラス中でも、

  • 1年生でやる2次式の因数分解や三角比を理解できていない子
  • 3次式の因数分解や三角関数をすぐ理解し、教科書が退屈な子

など、様々な生徒がいます。この生徒たちに同じ授業をしなければなりません。

正直、50分の中で学力が下から上までの子たちを、全員カバーすることは厳しいです。

おっでぃ
おっでぃ

もちろんできる子は内職を認めたり、学力が低い子へ積極的に机間巡視したりと日々改善できるように考えてはいますが…

このように学力の幅があるクラスに対してどのような授業をするのか?

と考えたときに、今の教育は真ん中の層に合わせた授業をするしかありません。

その結果、できない子は落ちこぼれていきできる子は簡単でつまらないと感じる授業になります。

今の日本の教育だと、真ん中の層だけに適していて、多くの生徒は速すぎたり遅すぎたりしてしまうと思っています。

解決策

そこで今、乙武さんや橋下徹さんなど教育に詳しい著名人の中で推奨されていることがあります。

それは学年のくくりではなく何年間で○○をやる、などざっくりとしたくくりにして、生徒に自分のペースで進んでもらうことです。

そうすれば、生徒の理解力や進度に合わせた教育が可能になってくると思います。

具体例

高校1年間で○○を勉強しなさい。

高校3年間で○○を勉強しなさい。

現在は、文部科学省の学習指導要領というものにて標準授業時数が決められています。

1年間で数学を〇時間やってくださいと丁寧に事細かに決められています。

もちろん賢い方々が考えられたもので素晴らしいとは思いまずが、この学習指導要領に適する子供は、真ん中の層だけです。

それ以外の学力の高い子、低い子どもたちには合っていないと思います。

おっでぃ
おっでぃ

しかし、あくまでも理想であって、問題点も山ほどありますよね…笑

飛び級や留年を1年スパンで考えるのではなく、何か月単位でできるようにするためにもICTの促進はしていくべきだと思います。

スタディサプリなどのオンライン授業が充実していけば、習熟度別授業の実施も夢物語ではない気もします。

おっでぃ
おっでぃ

まだまだ勉強不足なので、もっと学んでいきます!

まとめ

今回の内容をまとめると、

  1. 雪やインフルエンザを避けることができる
  2. グローバリ化が進む
  1. 入学時期が遅れ、24~30歳の賃金に影響を及ぼす
  2. 親や教育現場の負担が増える
  3. 留学生を増やしたいなら、お金と語学力
  4. 休校中の遅れは夏休みで補える
そもそも全学生を1年間で終わらすシステムをやめて、個々に合わせたカリキュラムの方が良いのでは…?
先ほども言いましたが、僕自身は9月入学に反対です。
9月入学よりも、ICTの促進教育システムを変えていく方が生徒のためにも優先度が高いと思っているからです。
みなさんはどうでしょうか?
今後の文部科学省の動きに注目していきましょう!

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